1.約3000坪もの敷地に生い茂った竹林や木々に覆われていて、御宿かわせみはの正体は、敷地の外からはほとんどうかがい知れません。覚悟を決めて、青々と茂った木々のトンネルをくぐるように車寄せに車をつける。茶室を思わせるしっとりとした和の空気の入り口が現れた。 2.このラウンジでチェックインの手続きです。「到着のお飲み物ですが、○○と、○○と、生ビールがありますが・・・。」ここだけは聞き漏らさなかった。 3.シャンデリアの下がるあめ色のロビーに松本民芸家具、和と洋が合わさりアンティークな雰囲気を醸している。調度品の数々は、女将が海外の旅先で惚れ込んだもの。 4.客室は渓流に面していて、すべての部屋に露天風呂が備わっている。和のテイストの中にゴージャスなソファーが置かれる。小上がりに敷きっぱなしの寝具は上質で寝心地抜群。布団カバーはどうやらシルクのようだ。上にちょんとのっている鶴の折り紙も心憎い演出。部屋に用意された水がもの凄く旨かった。 5.まずは内湯へ向った。青森ヒバの匂いの混じって、イオウの匂いがかすかに香る。浴槽は真ん中で仕切られぬるい湯と温かい湯が満たされている。 寝そべりの体勢をとって意識はどこぞへトリップ。湯が流れ落ちる音を、もうろうとした意識の中で楽しんだ。 6.漆黒の闇につつまれて入る露天風呂は格別。まさしく秘湯です。露天風呂は男女時間交代制。 7.前菜は水菜、ヒメサザエ、ゴマ豆腐、銀むつの西京焼きそしてふきのとうが飾られている。 ”いぶりがっこ”がしゃきしゃきサラダに妙に合うことに驚いた。 8.途中「おばんです〜!」とバリバリの秋田弁のおばちゃんが頬かむり姿で登場!きりたんぽの説明をしながら、きりたんぽなべをセッティングしてくれる。楽しいです。米はあきたこまちで、出汁は比内地鶏からとったという本格派。旨かったよ〜 9. 寝る前のひと時、クラブラウンジへ行ってみる。寝る体勢になる椅子に横になる。 わずか8室にして非常にゆとりを感じるスペースで。パブリックスペースもいつも独占状態が多かった。 10.こちらは、部屋の露天風呂。目の前には抱きかえり渓谷のエメラルド色の渓谷美。9室の部屋に渓谷に面した露天風呂が備わる。ふやけた体と脳みそを、ベンチに体を預けて脱力・・・。
あまりに道がスゴイ道(未舗装)が続くので、「きっと道を間違えたのだろう、引き返そう。」そう思っているところに宿の看板を見つけた。「やっと到着か」と安心したのもつかの間。看板に記されているのは「あと 5km 」の文字。ひゃぁ〜、今どき秘湯でもこんなに訪れる人を拒む温泉も少ない。しばらく砂利道に苦しめられていると突然、エメラルドブルーの美しい川が目に飛び込んできた。どうやら抱返り渓谷の上流に当たるようだ。これを見せられれば、砂利道への文句は撤回。渓流に沿って車を走らせると、生い茂った木々がぽっかり開け、現れたのは鄙な雰囲気ながら、リゾートを感じさせる平屋建て。待っていたのか、たまたまなのかは定かではないが、駐車場の前で女性スタッフが出迎えてくれた。ケータイ電話を見ると案の定、圏外。「都わすれ」とはよく言ったものだ。日常から別世界へと浮世から切り離された空間スリップにはむしろこれくらい秘境のほうがいいのかもしれない。
シャンデリアの下がるあめ色のロビーに松本民芸家具、和と洋が合わさりアンティークな雰囲気を醸している。スタッフが館内を一生懸命説明してくれるも、すっかりこれに目を奪われて言葉は右から左へ抜けていく。ただ一点、「到着のお飲み物ですが、○○と、○○と、生ビールがありますが・・・。」ここだけは聞き漏らさなかった。
平屋建ての宿は、渡り廊下が広い中庭をぐるりと取り囲むレイアウト。
まずは、大浴場へ向かうことにした。ここはまさに秘湯だ。木のお風呂の魔力にまんまと“やられた”のであった。成分表には無味無臭となっているが、青森ヒバの匂いの混じって、イオウの匂いがかすかに香る。浴槽は真ん中で仕切られぬるい湯と温かい湯が満たされている。寝そべりの体勢をとって気分はどこぞへトリップ。木の安堵感に包まれる。浴槽にはスピーカーから尺八の音が聞こえているが、自分はむしろ湯が流れ落ちる音を、もうろうとした意識の中で楽しんだ。
料理は個室、もしくは間仕切りされたダイニングで頂く。季節柄山菜を堪能した。郷土の食材と味を都会の方が楽しんで食べれるように細かい工夫がされている。味噌をつけて食べるスティックベジタブルが定番のよう。基本的には女性が喜ぶようなスモールポーションで器にも神経が行き届いている。途中「おばんです〜!」とバリバリの秋田弁のおばちゃんが頬かむり姿で登場したのには驚いた。きりたんぽの説明をしながら、きりたんぽなべをセッティングしてくれる。いやぁ〜楽しい楽しい。米はあきたこまちで、出汁は比内地鶏からとったという本格派。きりたんぽとは、ご存知の方も多いと思いますが、米を半つぶしにして棒に巻きつけた秋田の郷土料理。これを囲炉裏で焼いき、きのこや野菜と一緒に比内地鶏の出汁でとった鍋にいれて頂くのがきりたんぽ鍋です。この宿で頂いたきりたんぽ鍋も舞茸の風味がよく出ていて旨かった。
夏瀬温泉は100年くらいの歴史がある温泉らしい。もともとは湯治場であり、女将も幼ないころアトピーを治しに祖父母に連れられてきていた。しばらく営業されていなかった温泉を女将が引継ぎ、一軒宿の「都わすれ」としてスタートしたのが 2005 年のこと。リゾートといえばドレスアップされたにぎやかな街が思い浮かぶが、ここは180度性格が違う。自然の真っ只中、何もない。ただ湯だけがある。その秘湯ムードと、女性好みのするヨーロピアンな小洒落たムードが折り重なり不思議な雰囲気。今まで出会ったことのないタイプの宿だ。大人のための新しいリゾートのかたちになるだろうか。部屋の露天風呂ででふやけた体と脳みそを、ベンチに体を預けて脱力しながら思った。
宿で「温泉巡礼」(石川 理夫著)の「都わすれ」についての記事を呼んだ。「あの道を、女将さんはおじいちゃんに背負われてやってきたんだなぁ」なんて思うと、あの道こそ癒しの旅への大切な渡り廊下なんだと。
宿を出るとそこは、深い深い山の中であった。