能都 さんなみ 宿泊レポート

2004年6月のの宿泊レポートです。

能都 さんなみ キャプション

1.線路をこえた海を見下ろす小高い丘がさんなみの2000坪の敷地。かっこうの声が響き、野鳥が俊敏にその小さい体を翻す。うまいもの好きの間に知れわたるあの宿が、こんな何もないのどかな地にあったとは・・・。 2.能登半島北部の奥能登は、郷土料理の宝庫。なかでも日本3大魚醤のひとつ「いしり」は鍋物や漬け物に、いろんな料理の下味にと重宝される。その郷土料理を求めはるばる訪れた。2000坪の敷地に、能登伝統の白壁に黒瓦の母屋。 3.日本海に臨む露天風呂はご主人の手仕事。正面には立山連峰。いつも見えるわけではない分、見えたときの美しさは格別だとか。「この風呂から海越しに見る立山が好きなんです。お客さんのためといいながらホントは自分のためだったりして」ご主人の手仕事による露天風呂に満足気だ。 4.宿のすぐ横は田んぼ。畑には季節の野菜やイチゴ。言うに及ばず無農薬だ。20本の柚子の木からは柚子の香り酢がとれ、柿の木からは干し柿。裏山に入ればこごみ、わらび、筍、たらのめ・・・。畑仕事をしていると、孫たちがやってきて、大根を生のままおやつ代わりにかぶりつくそうだ。 5.造りは、さより、甘エビ、サザエ。これをつんと辛いわさびにいしりの原液で頂く。 6.これは鮭のはやずし。なにぎりずしがメジャーになる前の一昔前のすしだそうだ 7.焼き魚とおにぎりの串焼き。どちらも表面にいしりがぬってあり、とっても香ばしい。特にくるみが混ざっているおにぎりが最高。家に帰ってから、夜食はいつもこれ。 8.いしりの貝焼きは無性に食欲をそそられる。 9.なんでも、この地をさがすのに2年がかり。条件に挙げたのは、「きれいな水が確保できること」など7項目におよび、能登半島中を探し回ったそうだ。海を見下ろす高台、山からは清流が流れ、清冽な湧き水の堤、おおかた希望通りの土地であったそうだ。 10.

能都 さんなみ レビュー

貝焼きにのっかっている大根のスライスをつまみぐいして「はっ」とした。これはもう大根であって大根でない。甘さ、瑞々しさ、とにかくフルーティーなのだ。ご主人、たまにちゃめっ気で「梨です。」といって出すとお客は信じきってしまうそうだ。ねぎの風味も驚くほどの豊かさ。 宿のすぐ横は田んぼ。畑には季節の野菜やイチゴ。言うに及ばず無農薬だ。20本の柚子の木からは柚子の香り酢がとれ、柿の木からは干し柿。裏山に入ればこごみ、わらび、筍、たらのめ・・・。畑仕事をしていると、孫たちがやってきて、大根を生のままおやつ代わりにかぶりつく。孫たちに安心して食べさせることができてるもの、子供たちの舌にもこの味を記しておきたいという。 今でこそ郷土料理なんて名前がつくと、いっぱしの料理に聞えるが、その当時の気分として、旅館であれ民宿であれ「自分たちが日常食べているものを、お客さんに出すなんてそんな失礼なこと・・・」というくらい、豪華な宴会料理があたりまえだった。ところが、 そういう料理にゲップ気味の人たちから、郷土の味を食べてみたいという声が聞こえるようになってきた。 実際に作り始めてみると、子供の頃に食べたものとなにか味が違う。 たとえば「こんか鰯」。鰯を米糠に漬け込んだものだが、米ぬかにどうしても農薬の味が混じってしまう。でも無農薬の米なんて手に入らない。ならばと自分で作り始めた。 <2年に1回の収穫> こうなるととまらないご主人の性格。「いしり」づくりにとりかかった。いしりとはイカの内臓を発酵させてつくる能登半島古来からの魚醤。昔日本各地にはいろいろな魚醤があったというが、いまでは能登のいしり(もしくはいしる)と、はたはたを使った秋田のしょっつるだけだという。大豆からつくる醤油が昔からの日本の味だと思っていたのですが、醤油は中国から入ってきたものだなんて知りませんでした〜。 いしり作りは20年数前からつくりはじめた。 一般のいしりは塩水を足しながら1年に3回しぼるが、さんなみのは2年に1回のみ。「一番いしり」しかつくらない。イカのゴロ(内臓)と岩塩だけで冬に仕込み、梅雨を2回経験することでこれがいい塩梅。まろみが豊かないしりになる。 「先人たちが育てたこの郷土の味を、自分たちの代で絶やしてしまってはいけない」と一人気を吐く。 さんなみでは宿帳の記入は朝食の後のチェックアウト迫る時間だ。ここにくればどんな方もさんなみのお客さん。事前に知ってしまうと知らずに神経を使ってしまうからだ。 無邪気に大根を掘り、イチゴを野摘みでほおばっていたあの人がビックリの著名人だったりしておどろくとこもある。

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