土湯温泉の温泉街を離れ、杉の原生林へと続く曲がりくねった専用の坂道を下って行くと、敏捷な野鳥が囀る木々に隠されるように里の湯はその姿を"少しだけ"現す。落ち着いた木造の数奇屋造りが山に溶けこむ。聞こえるのは敏捷な動きを見せる野鳥の囀り、木々の揺れる音、それに混じってかすかに聞こえる渓流の瀬音。土湯温泉には属しているものの一軒宿と言ったほうが適当だろう。周囲の自然のと木造の宿の風合いが共鳴し、静だがしっかりとした色彩美を放つ。貸切の露天風呂へは杉木立の合間を這う木造の渡り廊下を少し歩く。途中シイタケの栽培している木が見えたり、カモシカも姿を現すらしい。【露天風呂(貸切風呂)】渓流の側に2つの露天風呂が現れる。美しい原生林に囲まれての湯浴みは別世界を感じさせてくれる。湯船の中のベンチこしかけ目前の森を眺める至福のひととき。こちらは渓流沿いの露天風呂。古代檜風呂と家族風呂、更に渓流沿いの大小2つの露天風呂、このすべてが常時部屋ごとの貸切風呂という極めて贅沢なもの。チェックイン後、夕食後、翌朝という3回のタイミングで3つ全てのお風呂を堪能できる。【古代檜風呂(貸切風呂)】樹齢千年を数えるという古代檜のお風呂は名湯を満々とたたえた、遠い昔の歴史が放つ檜の芳香を宿している。【家族風呂(貸切風呂)】露天風呂付きの家族風呂。つまり内湯と露天とを行ったり着たりできる貸切風呂です。エレガントな化粧台も備わり女性には魅惑度高いです。この土地のものを季節感豊にというのが「里の湯」の基本姿勢。郷土の味覚に軸足を置きながら四季折々の新鮮な味覚を懐石で堪能させてくれる。松茸はお客さんの目の前で七輪で焼くなど食事を楽しませてくれる。部屋食(3名以上の場合は別途個室が用意されます。)客室は2間続きの部屋が館内にほどよく分散している。このほかに3部屋付きの離れ「花村(かそん)」もある。写真は10+6畳のお部屋全ての部屋に魅力的な檜のお風呂が備わり、天然温泉が引かれている。
杉木立に隠されるような、まさに隠れ宿といった佇まい。杉木立をこれほど美しいと思ったのは初めてのことでした。自然と一体化できる露天風呂、野趣に富みがらもけして粗雑にはならず品がある。おそらくこの露天風呂での至福のひとときは、里の湯以外では感じる事が出来ないと思うくらい、このお風呂に出会えたことが嬉しかった。 今は亡きここの宿の先代は、福島市にある都市ホテルの経営者だった。その先代が、自らの理想の宿を目指して18年前にこの地に開業したのが里の湯である。宿を建てるにあたって、一年以上かけて自ら全国の名宿を泊まり歩いたというからその熱の入りようは並みではない。だから私は確信している。実は先代は自分が一客人として憩うため、そして、伴侶の笑顔を見るためにこの宿をつくったのだと。 もちろん垂涎の宿が特集される雑誌では常連の人気の宿では有るが、人気宿だからといってうわついたきらびやかさとは無縁であり、高級旅館でしばしば感じる堅苦しさも感じない。あたかも私のためだけにこの静かな杉林に潜んでいてくれたような、そんな気分にさせてくれる居心地の良さ、それがリピーターに愛される里の湯の魅力だ。