八甲田温泉郷
蔦温泉 電話0176−74−2311
■記事の内容は2001年10月の取材によるものです。
■ご予約・お問合せの際「タビエルの宿を見ましたが・・・」と言って頂くと嬉しいですです。

トチ、ブナ、ツタをふんだんに使った古い木造の造りの蔦温泉は、ブナの原生林に囲まれた八甲田南麓の一軒宿。磨きこまれた床板に懐かしさを感じるこの宿は、大町桂月が愛した宿としても知られる。
湯船の底から源泉が涌き出る珍しいお風呂では、掛け流しの天然温泉が楽しめる。「日本秘湯を守る会」会員の宿。
蔦沼を巡る散策路の起点ともなるこのロケーションはブナ林に囲まれてとても素晴らしい。850年前にはすでに湯治小屋があり、明治42年に旅館として営業が始まる。昔の十和田湖周辺は牛や馬が放牧されていて、蔦温泉には牛馬が侵入しないように門が有ったというから、のどかな環境だったのだろう。道路は整備されても蔦温泉の本館にはこの古き良き時代は十分に残っている。十和田・奥入瀬を世に広めた紀行文家、大町桂月はこの宿をこよなく愛し、晩年はこの宿へ移り住み、その生涯を終えるまで十和田の自然に親しみ文筆活動を行ったそうだ。
【久安の湯】

ブナ材でできた久安の湯は長い時代を過ごしてきたものだけに許されるどっしりとした風格を醸し出している。

男女時間別に利用できる。


【泉響の湯】

青森ヒバでできた清爽な雰囲気のお風呂。天井約12mのところまで梁が大小織り重なる様に張巡らされるらされていて、見事な景観を見せている。

男女それぞれにこのお風呂が備わる
蔦温泉の珍しいところは、お湯が注ぎ口から注がれるのではなく、湯船の底板の間からぶくぶくと涌き出てくるのだ。温泉は地表に出た瞬間から成分がだんだん変化してしまうのだが、ここのお湯は、お風呂が源泉の上に直に造られたのため鮮度は抜群だ。また久安の湯と泉響の湯のどちらも風呂場は階段を数段下ったところにある。これはこの高さが、湯船から常に若干のお湯が溢れて、お湯の鮮度を保つのに丁度いいという先人たちの知恵なのだそうだ。

【料理】

地元で採れる食材を中心に、八戸港で水揚げされた海の幸が加わる料理。連泊すると料理の内容が毎日変わるのも楽しみの一つ。

写真は西館の料理で本間、別館のものより少し贅沢な内容になっている。また本館、別館にお泊りの方も\3,000/人の追加料金で西館の料理を頂くことができる。


十和田湖牛のステーキ陶板焼

きのこと三菜のかも鍋

蔦温泉オリジナルの
地酒「ぶなのしづく」

【客室】
本館(大正7年)、別館(昭和35年)、西館(昭和63年)と様々時代の面影を刻んでいる客室。

本館と別館は木造のつくりで、歩くときしむ板張りの廊下に古き時代を偲ぶ。一番新しい西館は、鉄筋コンクリートの近代的なつくりで快適さを充分保ちながらも、目に見えるところは木材が十分に使われぬくもりもある。

本館客室

別館客室

西館客室

西館特別室

客室数 50室
泉質 単純泉
効能 外傷、打撲傷、各種慢性疾患など
浴室 内湯:男1、女1、男女時間別1
入浴時間 24時間
食事場所 夕食は部屋出し、朝食はお食事処
チェックイン/アウト 14:00/10:00
外来入浴 可(400円、9:00〜19:00)
URL http://www.thuta.co.jp/

宿泊料金表(1泊2食付1名料金) (単位:円)

【本館】10,000円
【別館】10,000円〜12,000円(景観と部屋の大きさによる。12/1〜3/31は別館のみ休業)
【西館】下記表を参照ください
西館料金表 時期 2名1室 3名1室 4名1室 5名1室
和室10畳
(トイレ・洗面所付)
4/1〜11/30 17,000 15,000 13,000 12,000
12/1〜3/31 13,000 12,000 11,000 10,000
和洋特別室
(和室10畳+ツインルーム
内風呂、トイレ、洗面所付)
4/1〜11/30 25,000 22,000 19,000 17,000
12/1〜3/31 22,000 19,000 17,000 15,000
■実際の料金は宿へご確認ください
■和洋特別室は7名様までご利用可能です。


記者所感

「十和田湖を見て初めて山水の美を語るべく・・・」
「奥入瀬渓流を観て始めて渓流の美を賞するべきなり」
大町桂月の書いた十和田に関する多くの資料と請願により十和田湖とその周辺は国立公園に指定された。月刊「太陽」などで全国的な活躍をしていた大町桂月が最も気に入り、この世での最後の棲家として移り住んだのがこの宿なのである。

そして、個人的なことですが私の父の想い出の宿でもあります。父は祖父に連れられこの宿で過ごし、私は父に連れられこのお湯に入りにきた。時を越えて3世代がこの宿とこのお湯に世話になったことになる。これってとても素晴らしいことじゃないだろうか。なにかで3世代が集まった時に、それぞれの自分の思い出を話し、共有する。「自分の時はこんな様子だった・・・」などなど古い話、新しい話が入り乱れる。それは温泉にしか出来ない芸当だ。今の世の中には、世代を超えた求心力をもつ存在って他に無いような気がする。「じゃぁ、こんどはみんなそろっていこうか。」と言う話になるのもおもしろい。蔦温泉はそんなシチュエーションにぴったりの宿だ。

客室50室もあれば、きっかけでもなければお客さんの顔を憶えることはむずかしいですが、「お客さんの方から”またきたよ。”という、言葉ではないが目でメッセージをおくって下さる方に出会うとこころから湯宿を営んでることの歓びを感じるんです」とご主人はいう。山峡の素朴な湯宿は、いにしえから脈々と受け継がれる”人の温もり”が健在なのである。ここは四季を通じて新緑や紅葉の頃はもちろんのこと、冬の雪景色の季節に、湯気が立ちこめるお風呂に入る事もまた格別にちがいない。