お宿からサポーター証書が届いた。

便箋3枚にわたり、手書きで感謝の気持ちが綴られてある。
これを読みながら、もうお宿の一泊目が始まってるような満ちた気持ちでおります。

 

いまから言うこはすべてではない。けど、大まかな流れはとらえてるつもりです。
じゃらん、楽天トラベル、booking.comなどのいわゆる予約サイトって便利ですよね。
「条件」で宿を選び出し、料金や内容を「比較」できる。泊まれば泊まるほどポイントだって貯まるのだ。

一方でぼくらが払う宿泊代、これら予約サイトを経由すると約10~15%は予約サイトに徴収され、お宿には渡らない。カード決済までするとさらにそこからさらに約3%パーセント、お宿の収益は削られる。
これ以外にもキャンペーンへの参加費やら広告費やらがあるので、ざっくりいうとぼくらの支払う宿泊料金の約20%が、宿を素通りして予約サイトへ支払われる計算になる。宿泊代が20,000円ならば宿に渡るのは16,000円。また予約サイトの「比較」の仕組みは客側の「お得感」を満足させる代償として、多くの宿を値引き競争に引きずり込む。

このことを知ってからはぼくは、予約サイトでは予約せず宿の公式サイトから予約をするようになりました。
ぼくが旅を通じて経験したいのは「お得感」ではない。目に見える「比較」の結果が旅の楽しさを担保するわけでもない。

 

予約サイトを否定するつもりはありません。
知った上で、どんな選択をするかは完全に読んだ人にゆだねられます。
またお宿側だって、ここに加盟する・しないの自由はある。支払うコストについても承知の上で加盟しているはずです。しかし予約サイトの「集客力」は個々のお宿を圧倒的に上回ってしまいました。実際に大手の予約サイトは沢山のお客さんを連れてきてくれる。そこに載ってなければ営業していることすら気付いてもらえない状態と言えるだろう。だからお多くのお宿は多額のコストの支払いに苦しみながらも、そこに頼らないわけにはい。

良心的な、正直な料金を掲げる宿であるばあるほど、宿泊料金の20%も外部に流出したら、お宿は疲弊することだろう。自分なら誰のために朝から晩まで働いているのかって気持ちになりそうだ。それとは反対にビジネスと割り切る宿は予約サイトのコストは「価格に転嫁」する。料金が高くなるとそのままでは売れにくくなるから派手な宣伝文句やキャッチーな宿泊プラン名で飾り立て、購買意欲を掻き立て、料金を正当化する。

お客は「お得感」を求めてお宿から利益を奪う
お宿は客の購買意欲を刺激して「価格転嫁」を正当化する。
これでは、お宿とお客の奪い合う関係だ。
でもこれが現実です。

 

ぼくは種プロジェクトに参加してくださったみなさんのことを考えました。
種プロジェクトでは、応援したいお宿に前払いする。
割引すらない。

「お得感」の欠片もないのです。

それは自分が「得したい」というのとは真逆です。
その道の著名人の方々が応援してくださり、参加を呼び掛けてくださったことが大きかったものの、このちっぽけなプロジェクトに、2か月ほどの短期間で4,000人を超える方々がサポーターになってくださいました。
イザベラ・バードが日本を旅したときに感じた日本人の崇高な精神は消えていなかった。
多くの方が、自分にとっての大切な宿を思い、つながりを大切にし、損得を超えて行動してくださいました。僕が受け取ったような手紙に感動したかたも多いでしょう。そしてサポーターさんの旅は、払った額以上の特別な経験となることでしょう。

参加したお宿さんからもたくさんお声を頂戴しています。
サポーターさんの応援のコメントを、

「涙なしには読めなかった」

という声ばかりです。そしてこの武漢ウィルス騒動はたいへん苦しい経験ではあったけど、お客さまとお宿の関係に思いをはせる大変大きなきっかけになったと、いろいろなお宿のご主人、女将さんが話していらっしゃいます。

 

ぼくはお宿と対等で在りたいです。
奪い騙しの関係は嫌だし、上下の関係も御免です。
宿や温泉地はぼくにとって大切な場所。いろんな人々の思い出が宿る場所です。
大切な場所を守ってくれている方々に感謝の気持ちで旅に出る。それは損得を超えた特別な旅になります。

「条件」や「お得感」を追い求めた先に、おそらく大したものは得られない。
お宿から奪う土壌に、客の豊かな気持ちは芽生えない。
金銭的なお得感を貪るとこに、宿の文化は育ちようもない。
宿の文化って何でしょう?きっと空気みたいなものです。その説明に成功し人は誰もいませんが、目には見えないけど客と宿のつながりがその中心にあることは間違いなさそうです。高尚な話に持ち込みたいわけではありません。人との出会いが人生を豊かにするように、お宿のと出会いも同じです。お宿ばかりが歯を食いしばったところで生まれるものではなく、共感し、お金をは払うお客がいて育まれる。

せっかく同じ額のお金を払うならば、お宿を育む支払い方もあるということを知っていただきたいです。

「僕らが・私らが育んだお宿の文化はこれです」

と、次の世代に背筋を伸ばして引き渡すことができますように。

 

冒頭の、お宿から届いたお便りを読んで思ったことでした

One Comment
  1. 予約サイトの手数料の数字は正確じゃない可能性があります。より正確な数字をお持ちの方がいらしたらぜひ教えてください。

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