ただいま

写メが送られてきた。
特急列車でひとり、連れは早くも黄金色の泡立つ液体に手を染めてしまっているらしい。
今回の温泉旅は連れは電車、自分は出張先から関越自動車道を北上し、長岡駅でピックアップして栃尾又温泉へと向かったのでした。

今日の栃尾又は梅雨の合間のさわやかな日。
緑豊かな谷あいに、目指す宿は静かに佇んでいます。
引き戸を開けると笑顔のスタッフ。つられて僕らも笑顔に。
久しぶりなんだけど、ぜんぜんそんな気がしない。
なんの気負いもなく、自然に宝巌堂に溶け込んでいった。

「ただいま」

今回のお部屋は参の拾伍番。小上がりのあるタイプで、チェックインの時から布団が敷かれてある。

この布団、寝心地がいいのはもちろん、この敷き方の丁寧なこと。感動もんです。崩すのがもったいないほど。

風呂支度して階段を下りると、素足に感覚が甦り始める。

「これこれ、この感じ。」

宝巌堂にはスリッパが用意されていない。
館内は桐敷きとなっていて、素足で歩くと肌への感触がほんのり温かく、しかもサラッとしている。この開放感がたまらない。

栃尾又温泉のお湯は渓流のすぐ側から湧いているそうで、そのためその源泉のすぐ側に湯小屋を建てた、これが「下の湯」だ。

前回のレポートでこの温泉は「現代人の羊水」とキャッチフレーズをつけた。
その羊水を目指して、木で作られたほの暗い「産道」を退行していく。

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現代人の羊水

戸を開けると先客は5人ほどが瞑想の途中だ。
湯を揺らさないようにそろりそろりと歩み進み、首のすわりのいい石と石の間をみつけてそこに落ち着いた。

古民家を思わせる湯小屋。
窓の外では、もうもうと力強い緑が燃え、透明な湯面は木漏れ日を反射させて壁にその姿を揺らしている。
渓流の音は母なる血液のごとく邪念をかき消していく。体温よりちょっと温かいかな?くらいのお湯はホント、退行催眠。
やがて意識は朦朧とし、その後のことは覚えてない。

1.5時間ほど浸かっていたが、4?5回意識を失いビクッと飛び起きたと思う。周りの皆さんおどろかしてゴメンナサイ(笑)。
ちなみに1.5時間というのはまだまだ初心者の域。常連さんは3時間ぐらいはいるのだそうだ。

栃尾又温泉は宝巌堂を含めて3軒のお宿があるのみ。
その3軒で「したの湯」と「うえの湯」を共有していて、時間によって男女が入れ替わる仕組み。「したの湯」は15:30?11:00が男性時間で翌朝の5:00?15:00が女性時間となっている。
「女は翌日までしたの湯には入れないの!?」と、したの湯目当ての連れは、この時間の振り方には不満気味のようだ。

しかし、食事中に連れが手の甲を突き出してきて触れ、触れと迫ってきた。
スベスベになったというのだ。美肌の湯を謳ってる温泉ではないが、確かになってる。

山菜に間に合いました。

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後編に続きます>>

 

 

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